GPS測量について
GPS測量は、アメリカの人工衛星と国土地理院が管理運営している電子基準点を用いて測量を行う最新の測量方法です。
国が行う測量のほとんどはGPS測量を用いています。最近は境界確定測量にも用いるようになりました。
現在、不動産登記法の大改正により、公共座標を使用することになりました。
公共座標とは
公共座標とは、緯度経度や世界測地系の座標値のことです。この座標値は、「日本のこの位置の土地」ということが判る座標値なのです。
最近、カーナビ(カーナビゲーションシステム)をつけた車が普通になりました。カーナビはGPS測量と同じようにアメリカの衛星を利用しています。
今、車がどこにいるか、緯度経度でデータを取得し、車の位置が判るようになっています。
GPS測量は、車の位置が判るのと同じように土地の位置が判るのです。
測量をする際に、GPS測量を行うことで、あなたの土地が日本のどこにあるかがはっきりします。
都市部では周囲に建物があり、GPS衛星からの電波を受信しにくいため、長脚を使用しでアンテの位置を高さ4mほどにします。
境界紛争にならないように
公共座標値により土地の位置がはっきりすることで土地境界線も明確になります。
もし境界でもめた場合でも、公共座標値があれば、あなたの土地の位置が判ります。
座標値を根拠に自分の土地であると主張できます。
コンクリート杭や金属標などの境界標があれば安心ですが、物はいつかは壊れます。
境界標が壊れてもそのまま何もなされないことが多いです。
そのため、隣の方が家を建てる際に、境界標がないのでもめる事が多々あります。
この場合もGPS測量を行っていた場合は、公共座標値ではっきりと境界を復元できるので安心です。
資産価値を減らさないように
土地は代々受け継がれていく大事な資産です。
GPS測量により境界トラブルに巻き込まれないようにしておくことが子孫の為にもなります。
やはり、土地のトラブルで一番多いのは越境です。
隣の塀が越境していることは多々ありますが、越境されている土地は資産価値を下げるばかりではなく、相続の際の物納もできません。
銀行は融資する際に、越境物がある土地には融資しないケースが増えています。
その際には、越境部分を分筆して融資を受けますが、分筆により土地の面積は減りますので当然担保価値は下がります。
もめごとのある土地は誰だって買いたくないです。
銀行や国も同じです。
GPS測量を行った上で、越境されないように注意する必要があります。
災害への備え
日本は地震の多い国です。
大きな地震が数年に1回の割合で起こっています。
GPS測量を行い、世界測地系での図面を作成することで、緯度経度によって土地の境界位置が分かります。
映画「日本沈没」のように日本が沈没することは、可能性が低いにしろ、必ず、大きな災害は起こる可能性は高いです。
GPS測量によって測量を行っておけば、どのような災害が起こっても自分の土地の位置は分かります。
位置が分かるので境界を復元することが可能です。
2004年10月23日 新潟県中越地震
地球の直径「5mm短い」 ※専門的な内容です。
日本経済新聞 2007年8月5日の記事に、地球の大きさを精密に測定すると、赤道の直径が従来より約5.1mm小さいことが分かりましたという記事がありました。
情報通信研究機構や国土地理院などが参加する国際機関が電波望遠鏡や全地球測位システム(GPS)衛星などのデータを「国際地球基準座標系(ITRF)の最新版として公表したことから分かったようです。
地球は、完全な球体ではなく、北極・南極方向に比べて赤道方向が膨らんでいます。
海や陸の地形の凹凸や潮の干満により変動しているが、一般的には赤道の直径が12756.274kmの楕円体です。
しかし、正確な地図を作ったり大陸プレートの移動や地盤の隆起・沈下などを解明したりするには、地球の形を三次元座標上で精密に決める必要があります。
この為、ITRFが1989年から公表し、精度の改善が重ねられています。
国土地理院が作成する日本国内の地図も、2002年の測量法改正以降、ITRFに基づく「世界測地系」を基準にしています。
GPS測量を行う為の技術力※専門的な内容です。
GPS測量はトータルステーションを使った一般的な測量とは全く異なるものです。
その為、測量方法は従来の測量とは全く異なります。
その観測方法も未だ確立されているとは到底思えません。
そのため、高価なGPS測量機器を購入しても観測者のスキルや経験値によって精度の良し悪しが顕著になると思われます。
今後は観測方法の標準化が望まれますが、すぐには難しい状況です。
現在、都市再生街区基本調査事業には既に使用されるのが一般的になりました。
これからは、公共物電子境界確定事業など新規事業の実施においてGPS測量は必要不可欠な測量になるでしょう。
GPS測量の状況※専門的な内容です。
今までGPS測量は、GPS測量機器が高価であったことや、その高価なGPS測量機器が複数台必要であったことにより、使用頻度は少ない状況でしたが、「ネットワーク型RTK-GPS」という公共測量作業マニュアル(案)が2004年7月1日に公開されたことにより、GPS測量機器が1台で公共作業に対応できるようになりました。
マニュアルは未だ「案」になっていますが、国土地理院より公開されたことにより、公共測量に使用できるものとなっています。
そして2005年6月に「ネットワーク型RTK-GPSを利用する公共測量作業マニュアル(案)」が発表されました。
これらマニュアルに基づきGPS測量はますます利用されることになるでしょう。