全部事項証明書 目次
2 オンラインにて(インターネットを利用して)全部事項証明書を取得する方法
全部事項証明書とは?
個々の不動産に対して行われた登記手続きの全てが、法務局(登記所)が管理するコンピュータ内に『登記記録』というデータとして保管されています。この登記記録の内容全てを法務局が紙に印刷し発行されるものが『全部事項証明書』です。
『全部事項証明書』は自分が所有する不動産はもちろん第三者が所有する不動産でも、誰もが所定の料金を支払えば入手することができます。
『全部事項証明書』は、法務局が内容が真正であることを証明しているので、公的な手続きによく利用されています。
昔の登記簿謄本に代るものです。
不動産の登記記録には、どのような不動産なのか、誰が所有しているのか、どのような権利が付着しているのか、などの不動産の情報が登記記録に記録されています。この登記記録というデータを、コンピュータからプリントアウトして認証を受けたものの総称が『登記事項証明書』です。
この登記事項証明書は、登記さえすれば1つの土地や建物に1つずつ存在していて、登記所が管理しています。
そして、登記事項証明書は4種類あり、全部事項証明書や現在事項証明書、一部事項証明書、閉鎖事項証明書が挙げられます。
①全部事項証明書・・・閉鎖されたものを除いて、今までに行われたすべての登記事項が記載されているもの
②現在事項証明書・・・現在、効力を有する登記事項だけが記載されているもの
③一部事項証明書・・・甲区や乙区の順位番号で指定して請求した登記事項だけが記載されているもの
④閉鎖事項証明書・・・閉鎖された登記記録が記載されているもの
この4種類の中から取得すべき登記事項証明書は、用途によって決まります。
例えば、ある不動産の今までのすべての権利関係を証明したいのであれば、①全部事項証明書を取得することになります。
一方、現在の権利状態だけを証明すればよいのなら、②現在事項証明書で事足りることになります。
これらの証明書は、目的不動産についての記載内容を、法務局の登記官が証明するもので、いわば国のお墨付きの証明書です。また、閉鎖された登記記録を除くすべての登記記録が記載されるため、全部事項証明書はオールマイティーな証明書といえます。
そのため、書類の信憑性が重要となる官公庁や金融機関から求められることが多くあります。
昔、登記された記録は、紙に書いて法務局が管理しており、登記簿と呼ばれていました。登記簿をコピーし登記官が押印し証明したものが「登記簿謄本」でしたが、登記簿がデータ化されコンピュータで扱われるようになってからは、「登記事項証明書(全部事項証明書・現在事項証明書・一部事項証明書・閉鎖事項証明書)」となりました。
登記事項証明書は、誰でも所定の料金を支払えば登記所から取得することができます。
- 「全部事項証明書」には、抹消された事項を含めて現在効力を持っている登記事項のほかに、今日までに変更された事項が記録されています。
- 「全部事項証明書」は、一番正確で詳細な証明書なので、様々な場面で用いられています。
- 「全部事項証明書」は「登記事項証明書」の1つです。
- 「全部事項証明書」という言葉は、不動産登記だけでなく、戸籍にも使われています。
下記①~⑪は、後記の項目「土地の全部事項証明書の見方」をご参照ください。
下記①~⑬は、後記の項目「建物の全部事項証明書の見方」をご参照ください。
全部事項証明書の用途
『全部事項証明書』の用途は、主に官公庁や金融機関などの審査などを受けるために用いられます。
上で述べたように、全部事項証明書は、閉鎖された登記記録を除くすべての登記記録が記載されるため、オールマイティーな証明書だからです。
この証明書が発行された日の時点で、どのような不動産であり、誰が所有者であり、抵当権などの担保権がついているかを見ます。
ただ単に登記記録の記載内容がわかればよいという場合は、インターネットで『土地全部事項・建物全部事項』や『土地所有者事項・建物所有者事項』を取得すると良いでしょう。法的な効力はありませんが、安く済みます。
提出先に、全部事項証明書でなければダメなのかを確認し、用途によって使いわけるとよいでしょう。
<全部事項証明書の原本が必要な事例>
- 住宅ローン控除のための確定申告
- 不動産の取得に伴い、不動産取得税の軽減を受ける場合の申請(原本のコピーの添付でもOKだが、登記情報提供サービスで取得しプリントアウトしたものは不可)
- 金融機関から融資を受け、抵当権設定登記を行い、登記の完了時に、登記がされていることの証明
- 金融機関などが、融資を行う際の与信を行う時、不動産を担保に、どこから、いくら借入れているかを確認するため
- 裁判で不動産が関係する場合、その不動産を特定するため
- 火災保険や地震保険などの保険に加入する場合
火災保険や地震保険に加入する際には、該当建物の所有者や新築年月日を証明する書類が必要。 - 会社から住宅手当などを受ける場合
会社から持家手当など住宅に関するなんらかの手当てを受ける場合など
<全部事項証明書の内容が確認できればOKな場合(土地全部事項・建物全部事項を取得する方がよい場合)>
- 不動産の購入の際、物件の調査のため土地や建物の登記事項を確認したいとき
- 財産調査をする場合
土地や建物が誰の所有であるかを調べたいとき、相続で被相続人の所有する不動産を調べたいときなど。 - 遺言書を作成したいときや遺産分割協議書を作成する場合
所有物権を正確に把握するためです。
全部事項証明書の取得方法
安全で円滑な不動産取引のために、不動産の全部事項証明書は、手数料を納付すれば、誰でも自由に取得することができます。
下記 1 と 2(1) どちらの方法を用いても、同じ全部事項証明書を取得できます。
自分にとって都合のよい方法で全部事項証明書を取得しましょう。
<全部事項証明書の取得方法>
- 登記所の窓口で取得申請する方法
取得できる書類 : 全部事項証明書・現在事項証明書・一部事項証明書・閉鎖事項証明書
2.オンラインにて(インターネットを利用して)取得申請する方法
■登記・供託オンライン申請システム かんたん証明請求(法務省) → 自分でプリントアウト
取得できる書類 : 全部事項証明書・現在事項証明書・閉鎖全部事項証明書
■登記情報提供サービス(民事法務協会) ※ただし、証明はされず、不動産の全部事項と所有者事項が記載されるのみ
取得できる書類 : 土地全部事項・建物全部事項・土地所有者事項・建物所有者事項
3.郵送で取得申請する方法
取得できる書類 : 全部事項証明書・現在事項証明書・一部事項証明書・閉鎖事項証明書
1 登記所の窓口で全部事項証明書を取得する方法
ここからは、不動産の全部事項証明書を取得する方法を紹介します。
シンプルに言うと、窓口で請求書を提出し、窓口で交付を受けるといった方法です。
まず、最寄りの法務局に行き、そこに設置してある登記事項証明書交付請求書(申請書)に必要事項を記入します。そして、証明書発行窓口で所定の料金を印紙で支払い、必要事項を記載した「登記事項証明書交付請求書」を提出します。提出した際に番号札を渡されますので、数分待って自分の番号が呼ばれたら、窓口に行くと全部事項証明書が手に入ります。
昔は、全部事項証明書は取得したい不動産の管轄登記所(法務局・支局・出張所)でしか取得できませんでした。
しかし現在では、全国の登記所(法務局・支局・出張所)はオンラインでつながり、どの登記所(法務局・支局・出張所)でも全国すべての不動産の全部事項証明書を取得することができるようになりました。
それでは、最寄りの登記所を調べてみましょう。
■法務局・地方法務局所在一覧 最寄りの登記所を調べてください。
「全部事項証明書」を登記所の窓口で取得するには、登記所が開いている時間内に取得します。
営業時間 : 月曜日から金曜日の8:15~17:15
休業日 : 土・日・祝祭日 年末・年始期間(12月29日 ~ 1月3日)
2 オンラインにて(インターネットを利用して)全部事項証明書を取得する方法
■ かんたん証明請求(法務省)
法務省が運営するサービスで、ネットでID登録し、発行手数料をネットバンキングでの電子納付やATMなどで先払いすれば、請求した証明書が送られてくるサービスです。(登記所での窓口受領を選択することもできます。)
登記情報提供サービスと違い、登記所で発行されるものと全く同じものが送られてきますから、証明書としても使用できます。
また、郵送申請と異なり、切手と返信用封筒を用意したりする手間がなく、郵便代も不要と便利です。
利用時間は、平日の午前8時30分から午後9時まで請求することができます。
登記官が内容を保証するような公的な証明書ではありませんが、以下のホームペジでは、登記の内容がインターネットで確認できて便利です。
■ 登記情報提供サービス(民事法務協会)
法務局が保有する登記情報を、インターネットに接続したお手元のパソコンで、手軽に閲覧とプリントアウトができます。
利用時間が、平日の8:30~21:00までと法務局が閉庁している時間帯でも、自宅や事務所で登記情報が取得できるので、非常に便利です。
さらに、平成25年3月より、不定期ですが、月1回土曜日でも利用できるようになりました。
しかし、登記情報提供サービスでプリントアウトした登記情報は、登記の内容を確認できるにとどまるもので、登記官の認証文や公印などが無いため、法的な証明力はありません。
3 申請書を郵送して全部事項証明書を取得する方法
この方法は、手間と費用がかかるためオススメしていませんが、一通り紹介します。
登記事項証明書交付請求書(申請書)を郵送して全部事項証明書を取得する方法は次の流れで行います。
(1) 登記事項証明書交付請求書(申請書)を法務局で入手します。
(2) 登記事項証明書交付請求書(申請書)に必要事項を記入します。
(3) 登記事項証明書交付請求書(申請書)に収入印紙を貼付します。
収入印紙は、登記所で販売していますが、郵便局や金券ショップでも購入できます。
(4) 登記事項証明書交付請求書(申請書)を、請求する土地や建物を管轄する登記所(最寄りの登記所ではないことに注意!)に郵送し ます。
受領する書類の重さを考慮した返送分の切手を用意します。
数が多い場合は、切手は、返信用の封筒には貼らずに同封します。
(受領する書類の重さがわからない場合は、多めの金額の切手を用意しましょう。登記所が使用しなかった切手は返却してくれます。)
(5) 請求してから数日程度で、全部事項証明書が郵送で届きます。
全部事項証明書 申請書の書き方
全部事項証明書交付請求書(全部事項証明書 申請書)■ 事前に準備すること
・ 請求する対象が土地・・・土地の所在(〇〇市△△町□丁目)と土地の「地番」を確認します。
・ 請求する対象が建物・・・建物の所在(〇〇市△△町□丁目×番地)と建物の「家屋番号」を確認します。
<注意>住所が〇〇市△△町□丁目×番※号で表記されている場合は、住居表示といい、全部事項証明書を取得するために必要な不動産の正確な所在地とは異なります。
「住居表示※1」が採用されている地域では、住所と、土地や建物の地番・家屋番号が異なりますので 、正確な地番・家屋番号を確認しておきましょう。
「地番」「家屋番号」は、土地1筆※2ごと、建物1個ごと(マンションのような区分建物ならば、1専有部分ごと)に1つづつ割り振られている登記上の番号です。
全部事項証明書に必要な地番や建物の家屋番号は、以下の書類で確認することができます。
- 登記済証や権利証の不動産の表示
- 登記識別情報通知
- 固定資産税の納税通知書に同封された「課税明細書」
- 建築確認通知書
1~4でもわからなければ、登記所に備付けられているブルーマップと呼ばれる地図で確認したり、登記所の窓口で、職員にたずねることもできます。
※1 1962年5月施行された「住居表示に関する法律」に基づき、「地番」や「家屋番号」に関係なく目的の建物を探し易くし、郵便物を配達し易くしたり、緊急車両の到着をより迅速にするなどのために新しく付けられた住所
■登記事項証明書交付請求書
下記の順序で登記事項証明書交付請求書(申請書)に必要事項を記入していきます。
1. 住所・氏名を記入します。
「請求人」欄に登記事項証明書を請求する人の住所と氏名を記入します。フリガナはなくてもOKです。
2. 種別にチェックします。
土地か建物のどちらか、もしくは両方を選択します。
土地の全部事項証明書であれば、土地の□にチェックをいれます。
建物の全部事項証明書であれば、建物の□にチェックをいれます。
3. 都市区町村から地番まで記入します。
請求対象の不動産の所在地を記入します。字が枠からはみでても構いません。読むことができればOKです。
4. 家屋番号または所有者を記入します。
建物の場合、家屋番号を記入してもよいですが、わからない場合は書かなくてもOKです。
同じ土地に複数の建物がある場合に、特定するのに家屋番号や所有者を記入します。
※ 土地の場合は、家屋番号は記入しません。
5. 請求通数を記入します。
6. 共同担保目録が必要な場合は必要な箇所にチェックします。
共同担保目録が不要な場合には、チェックは不要です。費用が高くなるわけではないので、チェックをするとよいでしょう。
7. 請求する書類の種類にチェックをいれます。
全部事項証明書がほしいときは、登記事項証明書・謄本の□にチェックをします。
8. 受領する際に必要な額面の収入印紙を貼付します。
登記所の印紙販売窓口で収入印紙を購入し、貼付しますが、受領の際に貼付しても構いません。
全部事項証明書 交付の手数料
全部事項証明書を取得するための交付手数料は、取得方法により異なります。
■ 登記所の窓口で交付を受ける場合 1通 600円
■インターネットのかんたん証明請求を利用する場合
・郵送で交付を受ける場合 1通 500円
・窓口で受領する場合 1通 480円
■ 郵送で取得する場合 1通 600円 + 郵送代
全部事項証明書の見方
全部事項証明書は、「表題部」と「権利部」に分かれています。さらに権利部が「甲区」と「乙区」に分かれています。
つまり、全部事項証明書は表題部・権利部甲区・権利部乙区・共同担保目録の最大で4つの欄から構成されています。
それぞれの部分には次のような情報が記載されています。
(1)表題部
土地や建物の物理的な状況が登記され、記載されています。
土地:所在・地番・地目(土地の現況)・地積(土地の面積)など
建物:所在・地番・家屋番号・種類・構造・床面積など が記載されています。
マンションなどの区分所有建物には、敷地権の表示が加わる場合があります。
(2)権利部(甲区)
所有者に関する事項が記載されています。
その不動産の所有者は誰で、いつ、どんな原因(売買、相続など)で所有権を取得したかがわかります。
所有権移転登記、所有権に関する仮登記、差押え、仮処分などが記載されています。
全部事項証明書・登記事項証明書の所有者は現在の所有者ではないことがある?
(3)権利部(乙区)
抵当権など所有権以外の権利に関する事項が記載されています。
所有権以外の権利とは、抵当権や根抵当権、質権などの「担保権」や地上権や賃借権などの「用益権」などがあります。
担保権とは、債務が返済できなかった場合に、担保となっている不動産を売却して、その代金から返済を受けることができる権利です。
抵当権の代表的なものが住宅ローンです。
用益権は、他人の不動産の使用ができる権利のことです。例えば抵当権設定登記を行うと、権利部(乙区)に抵当権が登記され記載されます。
権利部(乙区)がない登記事項証明書は、今までにその不動産を担保にお金を借りたことがないことがわかります。
(4)共同担保目録
乙区に抵当権設定などの登記があるとき、全部事項証明書の「権利者その他の事項」の欄の最後に「共同担保目録(あ)第○○○号」のように記載されていることがあります。共同担保目録とは、一つの抵当権などに対して複数の不動産が担保になっているときに作成されるもので、住宅ローンを借りたときに、土地と建物を共同担保にするのが代表的な例です。
共同担保目録欄は、全部事項証明書を請求する際に、共同担保目録の□にチェックをいれた場合にのみ発行されます。
所有者が事業用の資金を借りているような場合、たとえば3千万円くらいの住宅に数億円の根抵当権が設定され、共同担保目録に十数個の不動産が記載されていることもあります。
土地の全部事項証明書の見方
土地の全部事項証明書の見方のポイント①~⑪をご参照ください。
(1)表題部
①土地の全部事項証明書であることがわかります。
②土地の不動産番号 不動産番号にて個々の不動産を特定できます。
③土地の所在です。
④土地の地番です。
⑤土地の地目です。
⑥土地の地積です。 地目が『宅地』及び『鉱泉地』、地積が10㎡未満のものは小数点以下2位まで表示されます。
⑦分筆や合筆、地目変更等 行われた登記の原因が表示されます。
(2)権利部(甲区)
⑧登記の目的誰から誰が、どのようにして所有者になったかなどが表示されます。現在の所有者や、過去の所有者の住所と氏名がわかります。
全部事項証明書・登記事項証明書の所有者は現在の所有者ではないことがある?
(3)権利部(乙区)
⑨所有権以外に関する事項が表示されます。抵当権の場合は、いつ借金をしたのか、利息は何%なのかもわかります。
(4)共同担保目録
⑩共同担保目録の記号及び番号です。
⑪共同担保になっている不動産(土地・建物)がわかります。
建物の全部事項証明書の見方
建物の全部事項証明書の見方のポイント①~⑬をご参照ください。
(1)表題部
①建物の全部事項証明書であることがわかります。
②建物の不動産番号 不動産番号にて個々の不動産を特定できます。
③建物の所在です。
④建物の家屋番号です。
⑤建物の種類です。
⑥建物の構造です。
⑦建物の各階の床面積です。
⑧新築や増築、取り毀し等 行われた登記の原因が記載されます。
⑨表題部の所有者です。
建物表題登記を行うと、この欄に所有者が記載されます。また、保存登記を行うと『権利部(甲区)』に所有者が記載され、この欄は抹消されるため、下線が引かれます。
(2)権利部(甲区)
⑩登記の目的
誰から誰が、どのようにして所有者になったかなどが表示されます。現在までのすべての所有者の住所と氏名がわかります。
全部事項証明書・登記事項証明書の所有者は現在の所有者ではないことがある?
(3)権利部(乙区)
⑪所有権以外に関する事項が表示されます。抵当権の場合は、いつ借金をしたのか、利息は何%なのかもわかります。
(4)共同担保目録
⑫共同担保目録の記号及び番号です。
⑬共同担保になっている不動産(土地・建物)がわかります。
全部事項証明書に記載されていない事項
不動産の全部事項証明書は、様々な情報が記載されていますが、登記などを行う際に必要な情報であっても、記載されていない事項もあります。
例えば、売買による所有権移転登記を行う際に不動産の評価額が必要ですが、全部事項証明書には載っていません。
また、新築建物を建てる際に必要な情報である、土地についての法令上の制限(都市計画法・建築基準法など)も全部事項証明書には
記載されていません。
そのため、これらについては全部事項証明書以外の資料を別途取得する必要があります。
全部事項証明書からわかる注意すべきこと
(1)全部事項証明書を取得した日付に注意しましょう
不動産業者から全部事項証明書を渡されたような場合には、取得した日付にも注意が必要です。
登記の内容は、権利の変動を反映し、数日のうちに内容に変動があり、現在の内容と違っている可能性もあります。
全部事項証明書の最後には、登記官の認証文や職印とともに発行した年月日も記載されていますが、時間が経ってしまうと、現在の登記内容が変わっていることも考えられます。
今日現在の全部事項証明書を取得したとしても、その直後に、新しい登記がされれば、その全部事項証明書は意味の無いものになってしまいます。
売買により所有権移転登記などの登記をする場合には、司法書士は、決済の直前に全部事項証明書を取得し登記内容を確認し、何か問題がないかを確認しますが、購入検討の段階でもなるべく新しい全部事項証明書の内容をチェックしておきたいものです。
売買契約前には、最新の登記内容を確認するために、多少費用がかかっても、新たに全部事項証明書を取り直したほうが安全です。
(2)登記簿が改ざんされていませんか
全部事項証明書が改ざんされている可能性は、まずないでしょう。
登記の抹消の有無は、抹消を示すアンダーラインがあるかないかだけで判断します。
しかし、コピーを渡された場合、アンダーラインがあるかないかは、ぱっと見ただけでは見分けがつきません。
全部事項証明書の原本を目の前でコピーしてもらうなど、十分に注意を払う必要があります。
(3)全部事項証明書に注意すべき登記の記載がある場合
〇仮登記
〇差し押さえ
〇仮差し押さえ
〇買い戻し特約 などの登記の記載がある場合は注意が必要です。
全部事項証明書に、これらの登記がある場合は、権利関係が確定しているわけではなく、権利が奪われてしまう可能性があります。
不動産を購入する際には、よく理解したうえで検討しましょう。